2024年4月26日

【4月26日投稿】新規事業に使える補助金、事業再構築補助金の公募が再開されました。

記事カテゴリー:

4月23日から事業再構築補助金の第12回公募が開始されました。締め切りは7月26日と約3ヵ月程度あり、今からでも充分に間に合うスケジュールとなっています。

当社では事業計画の策定やブラッシュアップ、申請手続きの支援サービスを提供しています。同時に対応可能な件数は限られていますので、申請を検討されている方はお早めにお問い合わせからご相談下さい。

今回の公募では前回までと比較して大きな変更点が複数ありますので、申請を検討されている事業者の方に向けて、改めて対象となる事業者や要件などについて制度概要から解説致します。制度概要などについてご存じで、今回からの変更点や要件についてのみ知りたい方は概要は飛ばして下さい。

補助金概要

 事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化により、当面の需要や売り上げの回復が期待しづらい中、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会に対応するための中小事業者の新規事業などへのチャレンジを応援する補助金です。

補助対象となる事業

 上述したように本補助金では基本的に新規事業新製品での新市場進出など新しいチャレンジを応援する補助金で、具体的に新たな取り組みとして、新市場進出、事業転換、業種転換、事業再編、国内回帰という累計が補助金事業で定義されています。ややこしく思われるかもしれませんが、今までにやった事がないものであれば、大体はいずれかの類型に当てはまるように出来ています。但し、シリーズ物の製品で新しいモデルが出ました!といった取り組みは既存事業の延長であり対象とはならないのでご注意ください。詳しく要件が知りたい方は事業再構築指針の手引きをご確認下さい。

補助対象となる経費

新規事業に投入する経費の内、以下のようなものが補助対象となります。

建物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門
家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、
広告宣伝・販売促進費、研修費

新規事業に要する経費の多くが上記の何らかの費用に該当し、かなり広範囲の費用が補助対象となり得ます。但し、新製品を販売するような計画で、その新製品の材料費など、原価性のある費用などは補助対象とはなりません。

より詳細に補助対象となる経費を知りたい方は公募要領の33P~をご覧ください。

第12回公募での変更点

前回(第11回公募)と比較していくつか大きな変更点があります。特に注目すべきは公募枠の変更審査項目の変更事前着手の廃止です。

公募枠の変更

公募枠が刷新され今回からは公募枠は以下の5種類となりました。

成長分野進出枠(通常類型)

成長分野進出枠(GX進出類型)

コロナ回復加速化枠(通常類型)

コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)

サプライチェーン強靭化枠

名称は変わっていますが、殆どが前回までの公募枠とほぼ同様の要件になっています。ただし、前回の公募までは存在していた「物価高騰対策・回復再生応援枠」では特定期間の売上が減少しているという【売上高減少要件】を満たすだけで申請が可能でしたが、今回からは【売上高減少要件】は廃止となったため、前回まで当該公募枠に申請していた事業者の方は、改めて要件を満たす枠を検討する必要があります。

今回の公募枠5つの内、サプライチェーン強靭化枠は利用シーンが少ないため、その他の4つの公募枠に関して要件について解説します。

またすべての公募枠において共通している要件がいくつかあり、まずは共通要件を満たした上で、各公募枠の個別要件を満たす必要があります。共通要件については以下の通りです。

【事業再構築要件】
事業再構築指針で示されている「事業再構築」の定義に該当する事

【金融機関要件】
事業計画について金融機関等または認定経営革新等支援機関の確認を受けている事。但し、補助事業の実施にあたり金融機関等から資金提供を受けている場合は、必ず資金提供元の金融機関から事業計画の確認を受けている事。

【付加価値額要件】
補助事業の終了以降、3~5年間の会社全体または従業員1名あたりの付加価値額の成長率が年平均4%以上となる事業計画である事。
※補助事業の終了とは概ね新規事業の開始という意味で考えていただいて差支えありません。

成長分野進出枠(通常類型)

前回までの成長枠と産業構造転換枠に相当する公募枠になります。この枠に応募するにはⒶの2つの要件か、Ⓑの要件のいずれかを満たす必要があります。

Ⓐ【給与総額増加要件】
補助事業終了後3~5年で給与支給総額を年平均2%以上増加させる事

Ⓐ【市場拡大要件】
補助事業が属する市場が過去~今後の10年間で市場規模10%以上拡大している、または見込まれる事。
※具体的には補助事業が事務局の公開している成長市場リストに掲載されている市場に属している必要があります。尚、このリストに掲載されていない場合でも、政府統計やシンクタンクの調査などにより成長市場である事が証明出来れば対象となる場合があります。

Ⓑ【市場縮小要件】
現在のメイン事業が過去~今後の10年間で市場規模が10%以上縮小する市場に属しており、新規事業が既存のメイン事業とは異なる業種・業態である事。

または

会社が所在している市町村で、地域経済への影響が大きい大企業の撤退により、市町村内総生産10%以上失われる事が見込まれ、またその大企業との直接取引が売上全体の10%以上を占めている事。

※後段の部分は対象がかなり限定的で殆ど該当しないと思われます。前段の既存事業の市場が10%以上縮小している事、という点については市場拡大と同様に事務局からリストが公表されており、現在の会社の主たる事業が縮小市場リストに掲載されている場合は要件を満たす事になります。

成長分野進出枠(GX進出類型)

前回までのグリーン成長枠に相当する公募枠です。この枠に応募するには以下の2つの要件を両方とも満たす必要があります。

【給与総額増加要件】
補助事業終了後3~5年で給与支給総額を年平均2%以上増加させる事

【GX進出要件】
グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取り組みである事。

※過去に事業再構築補助金を受けている事業者で、今回2回目の申請を行う場合は追加の要件があります。詳しくは公募要領の16・17Pをご確認下さい。

コロナ回復加速化枠(通常類型)

前回までの物価高騰対策・回復再生応援枠に相当する公募枠です。この枠に応募するには、以下のⒶまたはⒷのいずれかの要件を満たす必要があります。

Ⓐ【コロナ借換要件】
コロナ借換保証等で既往債務の借り換えを行っている事。

Ⓑ【再生要件】
中小企業活性化協議会等において再生計画を策定中または計画策定後3年以内の者。

この枠に応募される事業者の方は殆どがⒶ【コロナ借換要件】を満たして応募をされる事になるかと思います。
コロナ借換保証については中小企業庁のコチラのページを参考にしてください。

コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)

前回までの最低賃金枠に相当する公募枠です。この枠に応募するには以下の要件を満たす必要があります。

【最低賃金要件】
2022年10月から2023年9月までの間で、最低賃金+50円以内の従業員が全体の10%以上いる状態が3ヵ月以上存在する事。

各公募枠の申請要件まとめ

各公募枠で様々な要件があり、自社がどの枠の対象になり得るかという事を調べるのも一苦労です。各公募枠の要件についてまとめると以下の通りであり、以下のいずれかに該当していれば、いずれかの公募枠には応募が出来ると考えていただければと思います。

①新規事業により成長市場リストに掲載されている市場に進出し、毎年2%以上の賃上げを行う。

②既存のメイン事業が縮小市場リストに掲載されており、異なる市場に進出する。

③新規事業がグリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題解決に貢献出来るもので、毎年2%以上の賃上げを行う。

④コロナ借換保証等を使って借金の借り換えを行った。

⑤中小企業活性化協議会等により事業再生計画を策定中か、策定後3年以内。

上記のいずれかに該当していれば、補助率などは異なりますが、本補助金の対象事業者である可能性が高く、活用を検討されている事業者の方は是非お問い合わせ下さい。

事前着手制度の廃止

前回の公募までは事前着手制度が存在しましたが、今回の公募では廃止されているため、交付決定後でなければ事業を開始出来ません。

事前着手制度とは

事前着手制度とは、事務局に申請を行い、事前着手承認を得る事で、交付決定前に事業を開始出来る制度でした。

事業再構築補助金に応募してから実際に補助金が得られるまでの流れは概ね以下のようになっています。

①公募への応募(事業計画の提出)

②採択者発表(公募締め切り後~数ヵ月)

③交付申請(購入予定物品の見積もり書等の提出)

④交付決定(交付申請後~数ヵ月)

⑤事業実施期間(交付申請時に提出した見積もり書に沿って物品の発注)

⑥実績報告(発注書や領収書の提出)

⑦補助金の支払い

再構築補助金では補助金の対象としたい経費類について、交付申請の際に見積書などを提出して事務局の審査を受け、補助対象となり得る事を確認した上で発注を開始しなければいけません。

しかし、上述したように事業計画を策定して公募への応募を行った後、交付決定に至るまでは早くても3~6ヵ月程度を要します。

このように計画策定後に実際に行動に移すまでの時間が長ければ長いほど、計画時点からの状況の変化や競合が先行する可能性など、事業実施を行う上で悪影響が考えられます。

このような影響を避けるために、交付決定前に事業を開始出来る事前着手制度が施行されていましたが、今回からは廃止されているため、時流が重要な事業を検討されている事業者の方は注意が必要となります。

審査項目の変更

本補助金では公募要領上で、事業計画書を審査する際の審査項目が記載されています。応募された事業計画書は税理士や中小企業診断士などの専門家が審査する事になっていますが、申請される件数は膨大であり、それを短期間で審査するためにかなりの人数で同時並行的に審査を行っています。

各審査担当者により事業計画の採点基準がバラバラでは全く公平性のない審査となってしまうため、要領上に審査項目を定めて、審査担当者もこの審査項目に則って事業計画を審査する事になります。

第12回の公募要領を確認すると、前回以前の審査項目から内容が変更されています。

文章の言い回しが若干変更されているだけで大意としては同じ内容である部分が大半ですが、それでも記述のニュアンスが変わっている部分が散見されます。

例えば今回の審査項目の中に「ビジネスモデル上調達先の変更が起こりにくい事業ではないか」という記述があります。これは例えば医療機器や車載部品など信頼性が非常に重視される市場では、製品が充分に価格的・性能的に優位性を持っていたとしても容易に参入出来ないようなケースが考えられ、そのような事も調査検討されているか、という事を明示的に示したものであると考えられます。

前回以前の公募要領上の審査項目でもマーケティングや市場調査が充分であるかといった審査項目はありましたが、今回のような記述はありませんでした。細かい話のようにも思えますが、今回はこの審査項目に則って審査が行われるため、事業計画を策定する段階でも充分に審査項目に該当する部分を検討し、計画書上に明記していく必要があります。

つまり、前回以前の公募に応募して、惜しくも落選してしまった事業計画書上を、少し補強したくらいでは採択は難しいと考えられ、今回の審査項目に合わせて追加の調査や計画書の追記が必要であると考えられます。

当社では事業再構築補助金の事業計画の策定やブラッシュアップ、申請手続きの支援サービスを提供しています。同時に対応させていただける件数には限りがありますので、申請を検討されている方はお早めにお問い合わせよりご相談下さい。

お気軽にお問い合わせください

お電話

072-397-2455

受付時間 9:00 〜 18:00
(不定休)

メール

お問い合わせ