2025年2月7日
社長の引退は何歳がベスト?今こそ考える事業承継
仕事が楽しく、いくつになっても元気にバリバリ働いている社長にも、いつかは引退の時がやってきます。
日々の業務に対応するだけでも忙しい社長にとっては、自分の引退時期など考える余裕もなければ、そもそも考えたくもない問題かもしれません。
しかし、キチンと引退に向けて準備を整えておかなければ、お世話になった取引先や従業員、そして大切な家族までもが大変な目に遭うという事態にもなりかねません。
今回は社長が引退して次世代に経営を引き継ぐ「事業承継」について、事前に考えておきたい事や、準備が不足していたが故に問題が起きてしまった事例などをご紹介します。
この記事が事業承継について考える切っ掛けになれば幸いです。
社長引退の平均年齢は約70歳?まずは全国のデータを確認
まずは全国の社長の年齢に関するデータを見てみましょう。以下は中企業庁が発表している中小企業白書から引用した「全国の中小企業社長の年齢の分布」です。

上のグラフで分かるように、2000年から社長の年齢というのはドンドン高齢化してきました。国としても社長の高齢化には危機感を持っており、以前より事業承継を促進するための様々な施策が行われてきました。
その甲斐もあってか、2023年には漸く社長年齢のピークが若返りましたが、これから事業承継を控える会社もまだまだ多く残っている状況です。
規模別平均年齢は小規模企業で70.5歳、中規模企業だと67.7歳
少し古いデータですが2013年の中小企業白書によると、社長の引退年齢は小規模企業で70.5歳、中規模企業で67.7歳という結果になっています。

小規模企業の方が引退年齢が高い事については、小規模企業は中規模企業と比較して、業務全体の中で社長の業務量が相対的に多い事や、社長個人の信用力で取引先と繋がっているなど、社長への依存度が高く、引退が難しいといった事が考えられます。
60歳になったら事業承継を考えよう
では、一体何歳になったら事業承継を真剣に考えるべきでしょう?
会社の状況によりケースバイケースではありますが、当社では上記のように問われれば「少なくとも60歳になったら真剣に考えましょう」と回答しています。理由は以下の通りです。
仮に全国平均のデータと同様に70歳で引退しようと考えると、それまでに後継者への教育を行い、立派な社長に育て上げなければいけません。
事業承継を行う場合、理想的なのは①現社長のもとで後継者を役員や従業員として雇い入れて社長教育を行う②現社長は会長や相談役などに勇退し、後継者が社長となり経営を行う。という流れです。
後継者が未確定の場合は、後継者の決定にも時間がかかり、これらを総合すると、やはり10年程度は必要となります。
そして上記は「経営能力の承継」に限った話になります。事業承継では経営能力の承継と併せて株式などの「資産の承継」を考えなければいけません。また、考えなければいけない事が沢山ありますので、はじめに事業承継計画を作成して着実に進めていく事が大切になります。